施設の種類一覧と比較表

「老人ホームを探して」と言われても、施設の種類は想像以上に多くあります。まず全体像を把握してから、親の状態・費用・家族の事情に合った施設を絞り込むのが最も効率的です。

主要な介護施設は大きく公的施設民間施設に分かれます。公的施設は費用が安い反面、入居待機が長くなることがほとんどです。民間施設は費用が高めですが、比較的早く入居できます。

施設の種類 月額費用の目安 対象 待機期間 認知症対応 医療連携
特別養護老人ホーム(特養) 5〜15万円 要介護3以上 数ヶ月〜数年
介護付き有料老人ホーム 15〜40万円+ 要介護1〜自立も可 比較的短い
住宅型有料老人ホーム 10〜25万円 自立〜要介護 比較的短い 施設による
グループホーム 12〜20万円 認知症・要支援2以上 中程度 ◎(専門)
老健(介護老人保健施設) 8〜15万円 要介護1以上 比較的短い
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 8〜20万円 自立〜軽度 短い
※ 月額費用は居室タイプ・所得区分・地域によって大きく異なります。表は一般的な目安であり、実際の費用は各施設に確認してください。特養は低所得者向けの「補足給付」制度で費用が軽減される場合があります。
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佐々木典子さん(仮名)・58歳・会社員 母・85歳の施設選びを経験

最初は「老人ホーム」が全部同じだと思っていました。調べてみたら特養・老健・有料老人ホーム・サ高住……と種類が多すぎて混乱してしまって。ケアマネさんに「まず比較表で全体を把握してから絞り込みましょう」と言われて、ようやく整理できました。母は結局、特養に申し込みながら住宅型有料老人ホームに入居するという「二刀流」で落ち着いています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

特別養護老人ホーム(特養)

公的施設 特別養護老人ホーム(特養・介護老人福祉施設)
入居対象 要介護3以上(原則)※特例で1・2も可 月額費用 5〜15万円程度(所得・居室による) 待機期間 数ヶ月〜数年(都市部は3〜5年以上も) 終身入居 原則可能(状態が悪化しても住み続けられる) 運営 社会福祉法人・自治体が中心
こんな方に向いています:費用を最小限に抑えたい/終身で安心して暮らしたい/要介護3以上で在宅継続が難しい

特養は介護保険が適用され、食費・居住費を含めても月10万円前後で利用できることが多く、限られた予算で長期入居を希望する家族から最も人気の高い施設です。24時間の介護体制があり、終身入居を前提としている点も大きな安心感につながります。

一方で、全国の待機者は約37万人(厚生労働省調査)にのぼり、特に東京・大阪などの都市部では入居まで3〜5年以上かかることも珍しくありません。「申し込んだら数年後」を前提に、早めに申し込みを始めることが重要です。

⚠️ 特養の申し込みは「入居が決まったらキャンセル可能」です。早めに複数の施設に申し込んでおき、空きを待つのが鉄則。申し込み後も年1〜2回は「入居の意思あり」と施設に連絡することでリストから外れるのを防げます。

有料老人ホーム(介護付き・住宅型)

民間施設 介護付き有料老人ホーム(特定施設)
入居対象 要介護1以上(施設によっては自立・要支援も可) 月額費用 15〜40万円以上(入居一時金が別途かかる施設も) 待機期間 比較的短い(空きがあれば即入居も可) 介護体制 24時間体制の常駐介護スタッフ。看護師も在籍 終身入居 原則可能(重度化・看取りにも対応する施設が多い)
こんな方に向いています:費用よりも早期入居を優先したい/医療ケアが必要になるかもしれない/手厚いサービスを求めている
民間施設 住宅型有料老人ホーム
入居対象 自立〜要介護まで幅広い(施設によって異なる) 月額費用 10〜25万円程度(介護サービス費が別途必要) 介護体制 施設内に介護スタッフは常駐しない。訪問介護などを外部から手配 特徴 介護度が低い段階から入居しやすい。介護サービスを選んで組み合わせられる
こんな方に向いています:まだ介護度が低い段階で住み替えを検討している/介護サービスを自分で選びたい/特養の待機中に安定した住まいを確保したい

介護付きと住宅型の最大の違いは「施設が直接介護するか、外部サービスを使うか」です。介護付きは施設の月額に介護費用が含まれているのに対し、住宅型は要介護度が上がるほど外部の介護費用が増えていくため、重度になると月額が想定以上に膨らむことがあります。

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村田かずえさん(仮名)・62歳・パート勤務 母・87歳を介護付き有料老人ホームに入居させた経験

特養は3年待ちと言われたので、先に介護付き有料老人ホームに入居しました。月25万円は正直きつかったですが、看護師さんが常駐していて24時間何かあれば対応してもらえる安心感は、お金では換えられないものがありました。入居してから母の顔が穏やかになったのを見て、この選択は正解だったと思っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

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グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

認知症専門 グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
入居対象 認知症の診断を受けた要支援2以上の方 月額費用 12〜20万円程度(地域差あり) 定員 1ユニット5〜9人。少人数で家庭的な環境 介護体制 認知症ケアに特化したスタッフが常駐 注意点 認知症の診断がない方は入居不可。重度化時に転居が必要なことも
こんな方に向いています:認知症があり、大きな施設より小規模・家庭的な環境が合う方/特養より費用を抑えて認知症専門ケアを受けたい方

グループホームの最大の強みは少人数でスタッフとの関係が密になることです。大きな施設では刺激が多く混乱しやすい認知症の方でも、顔なじみのスタッフと9人以下の少人数で生活することで、症状が落ち着くケースが多く報告されています。

ただし、入居には認知症の診断書が必要です。また、体調が悪化して医療行為が必要になった場合は転居を求められることもあるため、将来的な医療ニーズも考慮して選ぶことが大切です。

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高橋裕二さん(仮名)・52歳・自営業 認知症の父・82歳をグループホームに入居させた経験

父が徘徊するようになってから、在宅での介護はもう限界でした。最初は大きな老人ホームに見学に行ったんですが、人が多すぎて父が興奮してしまって。グループホームは「9人の小さな家」という感じで、スタッフさんがすぐに顔と名前を覚えてくれました。費用も有料老人ホームより少し安かった。入居後2ヶ月で徘徊がほぼ落ち着いて、今では笑顔が増えています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

老健・サ高住など、その他の施設

介護老人保健施設(老健)

医療系施設 介護老人保健施設(老健)
入居対象 要介護1以上(病院退院後の回復期に多く利用) 月額費用 8〜15万円程度 目的 リハビリにより在宅復帰を目指す「中間施設」 入所期間 原則3〜6ヶ月ごとに見直し。長期入所は想定されていない 医療体制 医師・看護師・理学療法士・作業療法士が常勤
こんな方に向いています:入院後、自宅に戻る前にリハビリが必要な方/特養の待機中にリハビリを続けながら生活したい方

老健は「病院でもなく、終の住まいでもない」中間的な位置づけの施設です。入院後すぐに在宅復帰が難しい方がリハビリをしながら生活する場として機能します。費用が比較的安く、待機も短いため、特養への入居待ち中に利用するケースも増えています。

📋 老健の入退所サイクルを知っておこう
老健は「3ヶ月ごとに在宅復帰の可能性を判定する」仕組みです。長期入居を続けるには施設側の判断が必要になるため、「終の住まい」として選ぶ施設ではありません。明確な「在宅復帰またはより長期的な施設への移行」を視野に入れて利用しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

バリアフリー対応の賃貸住宅で、「安否確認」と「生活相談」のサービスが義務付けられています。施設というよりも「介護サービスが付きやすい住まい」と考えるのが正確です。訪問介護・デイサービスなど外部のサービスを組み合わせて利用します。

サ高住 vs 住宅型有料老人ホームの違い
  • サ高住:賃貸住宅扱い(敷金・月額家賃制)。介護体制は施設により大きく異なる
  • 住宅型有料老人ホーム:施設入居扱い。サービスが充実した施設が多い
  • どちらも介護サービスは外部の事業者と別途契約が必要
  • 介護度が上がると外部サービス費が増え、月額が大きく膨らむことがある

状況から施設を選ぶ

施設選びで最も大切なのは、「今の状態」と「これからの状態変化」の両方を見据えることです。以下の状況別ガイドを参考に、候補を絞り込んでみましょう。

💰 費用を最小限に抑えたい
まず特養に申し込む
要介護3以上なら複数の特養に同時申し込みを。待機中は老健やショートステイを活用。
→ 特養(公的)
🚀 すぐに入れる施設が必要
有料老人ホームが現実的
空きがあれば2〜4週間で入居できる施設も多い。特養への申し込みと並行して進める。
→ 介護付き・住宅型有料老人ホーム
🧠 認知症が進んでいる
少人数環境を優先する
大規模施設より、スタッフと顔なじみになれるグループホームが症状安定につながりやすい。
→ グループホーム
🏃 リハビリして自宅に戻りたい
老健でリハビリを続ける
入院後の回復期に適した施設。理学療法士・作業療法士が常駐しリハビリを支援。
→ 老健(介護老人保健施設)
施設を選ぶ前に家族で確認すること
  • 現在の要介護度と、今後の状態悪化の予測(ケアマネに相談)
  • 認知症の有無・程度(グループホームの対象か確認)
  • 家族が毎月負担できる費用の上限
  • 自宅・家族の職場から施設まで面会しやすい距離か
  • 胃ろう・透析など今後必要になりうる医療ケアへの対応可否
  • 「最期はどこで迎えたいか」を本人と話し合えているか
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吉田恵子さん(仮名)・55歳・看護師 父・79歳の施設を2年かけて選んだ経験

看護師という仕事柄、施設の見方はわかっているつもりでした。でも実際に自分の家族を選ぶとなると全然違う。父はリハビリ次第で歩けるようになる可能性があったので、まず老健に入って3ヶ月リハビリをしました。その後、状態を見ながら介護付き有料老人ホームに移りました。「今だけでなく、1年後・3年後の状態」を想定して選んだことが正解でした。施設の種類を最初に理解していたことで、迷わずに動けたと思います。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

まとめ:施設の種類と選び方

  1. 特養:費用最安・終身OK・ただし待機が長い。要介護3以上なら早めに申し込む
  2. 介護付き有料老人ホーム:費用は高いがすぐ入れる。24時間体制で看取りまで対応
  3. 住宅型有料老人ホーム:介護度が低い段階から入居可能。重度化で費用が増加する点に注意
  4. グループホーム:認知症専門の少人数ケア。費用は比較的安定
  5. 老健:病院退院後のリハビリ専門施設。長期入居には向かない
  6. 今の状態だけでなく「3年後の状態変化」を見据えて候補を絞り込む
  7. ケアマネジャーに相談しながら、必ず見学・体験入居をしてから決める
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施設の種類を理解したら、次は実際に候補を検索して比較してみましょう。

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参考・出典
※ 費用は施設・地域・居室タイプ・所得区分により大きく異なります。本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。制度改正により変更される場合があります。具体的な費用や入居条件は各施設に直接ご確認ください。