グループホームとはどんな施設?

グループホーム(正式名称:認知症対応型共同生活介護)は、認知症と診断された高齢者が5〜9人の少人数で共同生活を送る介護施設です。介護保険の地域密着型サービスに分類されており、原則として施設と同じ市区町村に住んでいる人が利用します。

最大の特徴は「施設に預ける」ではなく「一緒に生活する」という考え方です。スタッフと入居者がともに料理をし、洗濯をたたみ、散歩に出かける。大型施設にありがちな一斉ケアではなく、その人の生活のリズムと役割を大切にすることが、認知症の症状を穏やかに保つ効果があると言われています。

グループホームの基本構造
  • 1ユニット5〜9人の少人数(最大2ユニット・18人まで)
  • 個室または準個室が基本。プライバシーを守りながら共同生活
  • 認知症ケアに特化したスタッフが常駐(昼夜問わず)
  • 料理・掃除・買い物など「日常の役割」を持って暮らすことでQOLを維持
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伊藤健一さん(仮名)・52歳・会社員 認知症の母・79歳をグループホームに入居させて1年

最初は「施設に預けるのは申し訳ない」という気持ちが強かったんです。でも見学に行ったとき、スタッフさんが入居者と一緒に夕食の準備をしていて。母が「私も手伝う」って自然に台所に入っていったとき、あ、ここは"生活の場"なんだと思いました。在宅のころ毎晩起きていた夜中の徘徊が、グループホームに入ってから全くなくなりました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

特養・有料老人ホームとの違い

グループホームを検討するとき、必ずといっていいほど比較されるのが特養(特別養護老人ホーム)と介護付き有料老人ホームです。費用・条件・待機期間のすべてが異なります。

項目グループホーム特養介護付き有料老人ホーム
主な対象者認知症+要介護1以上要介護3以上要介護1以上(施設による)
月額費用の目安12〜16万円7〜13万円15〜35万円
待機期間数ヶ月〜1年程度1〜5年以上比較的短い
認知症への専門性◎ 専門特化○ 対応可○〜◎ 施設による
生活環境小規模・家庭的大規模・施設的個室中心・充実した設備
住所の要件同一市区町村のみ要件なし要件なし
医療対応△ 協力医療機関と連携○ 看護師常勤が多い○〜◎ 施設による
⚠️ 「住民票のある市区町村」限定は重要なポイント
グループホームは地域密着型サービスのため、住民票がある市区町村の施設にしか入居できません。転居を検討している場合は、先に住民票を移してから申し込みが必要です。遠方に住む子どもの近くに引越してから入居、というケースもあります。

特養を「待ちながら」グループホームへ入居する選択肢

特養を希望しているが、1〜5年の待機が難しい——そのような場合、特養の申し込みをしたまま、グループホームへ先に入居するという方法が有効です。特養の待機リストから外れる必要はなく、グループホームに入居しながら特養の空きを待つことができます。

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費用の目安と内訳

グループホームの月額費用は、介護サービス費・居住費・食費・日常生活費の4つで構成されています。

グループホームの月額費用モデル(要介護2・1割負担の場合)
介護サービス費(1割負担) 約 18,000〜25,000円
居住費(家賃相当) 約 30,000〜60,000円
食費(3食) 約 40,000〜50,000円
日常生活費(消耗品・理美容等) 約 10,000〜20,000円
月額合計の目安 12〜16万円
💡 年金で賄えるケースも多い
厚生年金の平均受給額は月約14万円前後(2024年度)。グループホームの月額12〜15万円と重なる帯域であり、本人の年金だけで概ねカバーできるケースも少なくありません。ただし居住費は地域や施設によって大きく異なるため、事前に複数施設を比較することが大事です。

なお、上記はあくまで目安です。施設によっては入居時に敷金相当の「入居一時金」(0〜数十万円)を求める場合もあります。見学・資料請求の段階で確認しましょう。

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山田節子さん(仮名)・64歳・主婦 認知症の夫・73歳をグループホームに入居させた経験

若年性認知症と診断されたとき、正直「これだけの費用が毎月かかるのか」と頭が真っ白でした。でもケアマネさんに聞いたら、夫の厚生年金14万円とパート代を合わせれば十分まかなえるとわかって。実際に入居してみたら、毎月の支払いは安定しています。費用の心配より「どの施設が夫に合うか」に集中できて、今は良い施設を選べたと思っています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

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入居条件と申し込みの流れ

入居の3つの条件

また、集団生活が一定程度可能であることが前提となります。著しい暴力行為や強度の行動・心理症状(BPSD)がある場合、受け入れが難しいこともあります。

申し込みから入居までの5ステップ

1
ケアマネジャーに相談する
担当のケアマネジャーに「グループホームを検討している」と伝えると、地域の施設リストを紹介してもらえます。まだケアマネが決まっていない場合は地域包括支援センターへ。
2
候補施設に連絡・見学を申し込む
複数の施設に電話で問い合わせ、見学を申し込みます。1〜2施設の見学では比較が難しいため、できれば3施設以上を実際に訪れましょう。体験入居(数日間)を受け付けている施設も多いです。
3
必要書類を提出する
認知症の診断書・要介護認定証(または認定通知書)・申込書・健康診断書などを提出します。施設によって求める書類が異なるため、事前に確認を。
4
施設による入居審査(面談・書類審査)
本人・家族との面談や医療情報の確認が行われます。施設の対応能力と本人の状態をすり合わせる重要なステップ。正直に現在の状態を伝えることが大切です。
5
入居決定→契約・入居日調整
審査通過後、重要事項説明書を受け取り、内容を確認してから契約します。入居日は本人の状態や部屋の空き状況によって調整します。

グループホームが向いている人・向いていない人

「認知症だからグループホームがいい」と一律には言えません。本人の状態や家族の状況によって、最適な選択肢は変わります。

✅ グループホームが向いている
  • 認知症があるが、日常動作は比較的自立している
  • 少人数の静かな環境の方が落ち着く
  • 特養の待機(1〜5年)が難しい状態
  • 住み慣れた地域で、馴染みの環境に近い場所にいたい
  • 料理・掃除など「役割」を持って生活したい
⚠️ 別の施設が向いているかもしれない
  • 認知症がなく、要介護度だけ高い(特養・老健が適切)
  • 医療処置(経管栄養・点滴など)が日常的に必要
  • 著しい暴力行為や徘徊で集団生活が難しい状態
  • 費用をとにかく抑えたい(特養の方が月3〜6万安い)
  • 住民票が違う市区町村(転居が難しい)

後悔しない選び方(見学で確認するポイント)

グループホームは「どこでも同じ」ではありません。スタッフの質と施設の雰囲気が、入居後の生活の質をほぼ決めると言っても過言ではありません。必ず見学し、以下のポイントを確認しましょう。

👥
スタッフと入居者の関係性
「○○さん、今日のお昼はどうでした?」と名前で声をかけているか。入居者の表情が穏やかか。スタッフ同士の雰囲気も見る。定着率(「何年勤めていますか?」と聞く)も重要なサインです。
🌙
夜間の対応体制
夜間は最低1人の配置が義務ですが、入居者数に対して手薄な施設は不安。「夜間に転倒・急変があった場合どう対応しますか?」と具体的に聞くと施設の姿勢がわかります。
🍳
日常生活への関わり方
入居者が料理・洗濯・掃除にどれだけ参加しているか。「スタッフがやってしまう施設」と「一緒にやる施設」では、入居者のQOL(生活の質)に大きな差が出ます。
🏃
体験入居を活用する
多くのグループホームで数日間の体験入居を受け付けています。見学だけでは見えない「生活のリズム」を確認できます。「体験入居はできますか?」と必ず聞きましょう。
📋
医療機関との連携体制
協力医療機関はどこか。歯科・眼科など専門科への通院サポートはあるか。インフルエンザなど感染症が出た場合の対応マニュアルがあるかも確認ポイントです。
📍
立地と家族の面会しやすさ
本人が馴染みのある地域に近いほど、環境変化のストレスが少ない。また、家族が定期的に面会できる距離かどうかも大切。交通アクセスを実際に確認しましょう。
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小林和彦さん(仮名)・58歳・公務員 母・82歳の施設選び。特養待機中にグループホームを選んだ経験

特養に申し込んだはいいものの、ケアマネさんから「2〜3年は待つかもしれない」と言われた。その間に在宅を続けるのはもう限界で、グループホームを選びました。3施設を見学して、決め手はスタッフさんの言葉。「うちの入居者はみなさん、ここに来て穏やかになるんですよ」って。実際母は「小さい家みたいで落ち着く」と言っています。特養を待ちながらグループホームに入れる、という選択肢を最初から知っていればよかったです。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

認知症が進んだらどうなる?

グループホームへの入居を検討しているご家族が最も不安に感じるのが、「認知症がもっと進んだらどうなるのか」という点です。正直に伝えると、認知症の進行度合いによってはグループホームを退去しなければならないことがあります

認知症の状態グループホームでの対応次のステップの目安
軽度〜中等度
(日常生活に一部介助が必要)
対応可能。役割を持った生活でQOL維持継続して入居できることが多い
中等度〜やや重度
(多くの介助が必要)
施設によって対応可否が分かれる施設と相談しながら継続検討
重度
(寝たきり・経管栄養など)
対応が難しいことが多い特養・老健・療養型病床への移行を検討
著しいBPSD
(暴力・夜間の激しい徘徊等)
退去を求められることがある専門医療機関への入院→施設再入居の流れ
💡 入居時に「退去条件」を必ず確認しておく
入居前の契約説明時に、「どのような状態になったときに退去をお願いする可能性がありますか?」と具体的に確認しておきましょう。施設によって対応能力の幅が異なります。また、転居先のグループホームや特養をあらかじめリストアップしておくと、万が一の際に慌てずに済みます。
👩
橋本典子さん(仮名)・61歳・介護福祉士 実母の認知症進行でグループホームから特養へ移った経験

介護職の私でも、母がグループホームを退去しなければいけなくなったときは動揺しました。でも施設長さんが早い段階から「あと1年くらいで移行先を考えた方がいいかもしれません」と教えてくれていたので、特養の申し込みを半年前からしていた。おかげで母の状態が限界になる前に特養に移れました。退去を「失敗」ととらえず、認知症の進行に合わせた「次のステージへの移行」と考えると、少し気持ちが楽になりますよ。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

まとめ

  1. グループホームは認知症専門の5〜9人の少人数施設。「管理」ではなく「一緒に生活する」場
  2. 月額12〜16万円。厚生年金の平均受給額と重なるため、年金だけで賄えるケースも
  3. 入居条件は「認知症の診断」「要介護1以上」「同一市区町村の住民票」の3つ
  4. 特養を申し込んだまま、グループホームへ先に入居するのは有効な戦略
  5. 見学はスタッフの雰囲気・夜間体制・日常生活への関与度を重点的にチェック
  6. 認知症が重度になると退去を求められることも。入居時から移行先を考えておく

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参考・出典
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。費用・入居条件は地域・施設によって異なります。詳細はケアマネジャーまたは施設に直接お問い合わせください。