介護費用の平均はいくら?総額と期間の現実

生命保険文化センターの調査によると、介護にかかった費用(自己負担)の平均は以下のとおりです。

📊 介護費用の全国平均(自己負担)
介護期間の平均 約5年1ヶ月(61ヶ月)
月々の自己負担(平均) 約8.3万円
住宅改修・入居一時金など一時費用(平均) 約74万円
総額の目安(月額×期間+一時費用) 約580万円

ただし、これはあくまで平均です。認知症の進行・施設の種類・介護度・地域によっては総額1,000万円を超えることも珍しくありません。「まだ先の話」と放置せず、親が元気なうちから費用の準備と話し合いを始めることが重要です。

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伊藤久美子さん(仮名)・55歳・パート 父・84歳の在宅介護で費用管理を担当した経験

最初は介護保険の1割負担だけで済むと思っていたんです。でも実際は、訪問介護に加えておむつ代・通院タクシー代・宅配食費が積み重なって、月に8万円以上になっていました。高額介護サービス費の制度は1年以上知らずにいて、後から申請したら数万円戻ってきた。もっと早く調べておけばよかったと後悔しています。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

在宅・施設別の費用シミュレーション

在宅介護の場合(要介護2・週3回デイサービス+週2回訪問介護の例)

月額費用の内訳イメージ
デイサービス(週3回・1割負担) 約12,000円
訪問介護(週2回・1割負担) 約6,000円
おむつ・衛生用品 約10,000円
宅配食・通院タクシー代など 約15,000円
介護保険外サービス(必要に応じて) 0〜20,000円
月額合計(目安) 約4〜7万円

施設入所の場合

施設の種類 月額費用(目安) 入居一時金 特徴
特別養護老人ホーム(特養) 5〜15万円 なし 公的施設で最安。要介護3以上・待機あり
介護老人保健施設(老健) 8〜15万円 なし リハビリ目的・在宅復帰想定の中間施設
グループホーム 12〜22万円 0〜100万円 認知症専門・少人数ケア
介護付き有料老人ホーム 15〜40万円 0〜数百万円 24時間介護・看取り対応。すぐ入れる
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 10〜25万円 0〜数十万円 賃貸住宅型。介護度が上がると外部費増
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見えないコスト:介護離職・時短の機会損失

在宅介護は一見「施設より安い」と思われがちです。しかし介護のために仕事を辞めたり、時短・パートに切り替えた場合の収入減を含めると、総コストは大きく変わります。

💼 機会損失の試算例(年収500万円の方が時短に切り替えた場合)
時短勤務による年収減(例:500万→350万円) 年間 約150万円減
5年間の累計損失 約750万円
介護離職の場合(収入ゼロ×5年) 2,500万円相当の損失も
→ 施設費用(月20万円×5年=1,200万円)と比べても 離職のほうが損になることも
⚠️ 「介護のために仕事を辞める」は最後の選択肢です。介護休業・介護休暇制度・訪問介護・デイサービスを組み合わせることで、仕事を続けながら介護できる体制を作ることを優先してください。介護離職後の再就職は、特に50代以降は非常に厳しくなります。

申請しないと損する軽減制度4選

介護費用の負担を減らす制度は複数ありますが、どれも「申請しないと受けられない」のが現実です。知らないまま支払い続けているケースも多く、まとめて確認しておきましょう。

制度名 対象者 軽減の内容 申請先
高額介護サービス費 全員 月の自己負担が上限額を超えた分を払い戻し。一般世帯の上限は月44,400円 市区町村
負担限度額認定 住民税非課税世帯など 施設入所時の食費・居住費を所得・資産に応じて大幅軽減(月数万円変わることも) 市区町村
住宅改修費の支給 要介護1以上(在宅) 手すり設置・段差解消など上限20万円の工事費の7〜9割を介護保険が負担 市区町村(ケアマネ経由)
高額医療・介護合算制度 全員 同一世帯の医療費と介護費の合計が年間上限を超えた場合に払い戻しあり 健保・市区町村
💡 「使える制度を全部教えてほしい」とケアマネに聞くのが最速です。
ケアマネジャーは地域の制度に詳しく、申請書類の作成を手伝ってくれることもあります。「申請していない制度があるかもしれない」と感じたら、担当ケアマネにその場で確認してください。
👨
中村隆さん(仮名)・58歳・会社員 母・82歳(要介護3)の施設入所費用で苦労した経験

特養の待機中に民間の有料老人ホームに入ることになったとき、月30万円近い費用に正直「えっ」となりました。私の手取りを超える金額で、貯金を削り始めるしかなかった。負担限度額認定という制度は入所してから知りました。申請したら食費・居住費が大幅に下がって、月5万円以上助かるようになった。情報収集の大切さを身をもって学びました。

※体験談は一般的なケースをもとにした構成例です。実際の体験談は順次掲載予定です。

親の資産管理をどうするか

介護が始まると、親の代わりに介護費用の支払いや通帳管理を行う場面が増えます。しかし親の財産に勝手に手をつけることは法律上できません。また、認知症が進行すると銀行口座が凍結されることもあり、事前の対策が重要です。

◎ 最も柔軟
家族信託(民事信託)
元気なうちに財産の管理・処分を子に任せる契約。認知症後も不動産売却・介護費用の支払いが可能。
👍 本人の意思が反映されやすい。活用範囲が広い
○ 法的保護が強い
任意後見制度
本人が元気なうちに後見人を指定。認知症になった後に裁判所が後見を開始。本人保護が強い。
👍 法的根拠があり安心。手続きは公証役場で行う
△ リスクあり
家族間の信頼ベース管理
制度を使わず家族が通帳・印鑑を管理する方法。法的根拠がなくトラブルになりやすい。
⚠️ 使途を書面で記録しないと横領を疑われる

家族信託・任意後見のいずれも、認知症が進んでからでは手続きができません。本人に判断能力があるうちに司法書士や弁護士に相談することが大切です。相談費用(数万〜数十万円)はかかりますが、後のトラブルを防ぐ保険として考えると合理的です。

資産管理でトラブルになりやすいケース
  • 通帳を管理している兄弟が使途を報告しない → 横領を疑われる
  • 認知症が進んだ後に不動産を売ろうとしたが、銀行・登記で手続きを止められる
  • 施設費用が足りず、子どもの貯金を崩し続けて共倒れになる
  • 親の死後「介護した自分が多めに相続すべき」と兄弟間で揉める
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渡辺正志さん(仮名)・60歳・自営業 母の資産管理をめぐって兄弟間でトラブルになった経験

母の通帳を兄が管理し始めてから、何にいくら使ったかが一切見えなくなりました。「介護費用に使った」と言われても確認できない。結局、成年後見制度を申請して裁判所が管理することになりました。家族信託を早めにやっておけば、こんなに揉めなかったと思います。お金のことは感情が絡むので、元気なうちに専門家に相談することを強くおすすめします。

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お金が足りなくなったときの対処法

「親の貯金が底をついてきた。このままでは介護を続けられない」——そんなときも、あきらめる前に確認すべき選択肢があります。

対処法 概要 条件・注意点
特養への入所申請 月5〜15万円と最も安価な公的施設。複数施設に同時申し込み可能 要介護3以上。待機が長い地域では数年かかることも
負担限度額認定の申請 施設の食費・居住費を軽減。月数万円変わることも 住民税非課税世帯など所得・資産の要件あり
生活保護の申請 資産・収入が基準以下なら施設費用が公費でまかなえる 申請は市区町村の福祉課へ。利用できる施設に制限あり
リバースモーゲージ 持ち家を担保にお金を借りる仕組み。死後に自宅売却で返済 年齢・物件の条件あり。金融機関・社会福祉協議会に相談
家族間の費用分担見直し 兄弟で費用を改めて分担する。弁護士・司法書士を交えると進めやすい 感情的になりやすいため、第三者を入れることを推奨

まとめ:介護費用の準備と管理

  1. 介護費用の平均は月8.3万円×5年+一時費用=総額約580万円。認知症・施設入所で大幅に増える
  2. 在宅介護は月4〜7万円でも「介護離職・時短」の機会損失を含めると施設より高くなることも
  3. 高額介護サービス費・負担限度額認定など、申請しないと受けられない軽減制度が4つある
  4. 親の資産管理は認知症が進む前に家族信託か任意後見の準備を。書面のない家族管理はトラブルのもと
  5. 費用が足りなくなったら「特養申し込み・負担限度額認定・生活保護」を順番に検討する
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参考・出典
  • 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2021年)介護費用の平均・介護期間のデータ
  • 厚生労働省「介護保険制度の概要・高額介護サービス費」→ https://www.mhlw.go.jp/
  • 法務省「成年後見制度(任意後見)について」→ https://www.moj.go.jp/
  • 厚生労働省「介護保険の住宅改修について」→ https://www.mhlw.go.jp/
※ 本記事の費用は目安であり、地域・施設・要介護度・所得区分によって大きく異なります。軽減制度の適用条件は自治体によって異なる場合があります。個別の費用・制度については市区町村窓口またはケアマネジャーにご確認ください。